坪田まりこの就職塾2011

坪田まりこの就職塾2011 第2回
インターンシップに参加して、”手がかり”をつかもう

はじめに

皆さん、こんにちは。
いよいよ夏休み。去年までは待ちに待った楽しい夏休みだったかもしれませんね。でも今年の夏は気分がちょっと違うのではないでしょうか。

そう、皆さんにとって就職活動を意識しなければならないからです。今年の3年生は、早々と情報収集をしている人が少なくないように思います。私は、昨年から国立大学法人東京学芸大学で特任准教授という肩書きをいただき、同学生のキャリア支援をしていますが、4年生はもちろんのこと、3年生からも6月に入る前くらいから、熱心な質問を受けはじめています。そういえば、他大学でもキャリアセンターや就職課から、「3年生向けガイダンスに、早々とたくさんの学生が参加している。去年の夏はガラガラだったのに」という声もしばしば伺っています。

4年生の苦労されている姿を、身近で見たり聞いたりしている皆さんですもの、さすがに不安を感じているのかもしれませんね。必要以上の不安を今から感じることはよくありませんが、それでも、早い時期から情報収集をしたり、学内外で開かれる企業セミナーに参加をなさることはいいことだと思っています。

受験も日々の試験対策もそうですよね。一夜漬けはやっぱり心もとないもの。就職活動は、不安のみならず、皆さんにとって未知の世界だからこそ、早々と準備をなさることがきっと後になってから、「あのとき、あれをやっておいて(聞いておいて)よかったあ!」とプラスに思うことがきっとあると思います。

今からやるべきことは、人それぞれ様々ですが、今回は、毎年注目度が高まり、学生の
参加率も年々上昇している「インターンシップ」について、お話したいと思います。

インターンシップの意義

大学生が夏休みなどを利用して、企業や官公庁などで一定期間の就業体験ができる制度のことです。
学生にとってのメリットを、過去に参加をした先輩たちからの声でご紹介しましょう

学生にとっての参加メリット
  • 興味のある企業に行けた。社風や社員の働きぶり、考え方などがよく分かった。
  • 興味のある企業だったが、体験してみて自分には向いていない業界だと分かった。
  • 興味のない企業しか行けなかったので、期待していなかったが、参加してみたら素晴らしい企業で、自分の目線や見方が変わった。
  • 就職活動へのモチベーションが上がった、など。
  • 自分にどんな企業が向いているのか、どんな企業でどんな仕事に適正があるのかなど、早くから知ることができる
  • 入社後3年以内に「こんなはずではなかった」「イージしていた仕事とは違った」などという自己都合による早期退職者が増加しているが、そのミスマッチを未然に防ぐことができる
  • インターンシップの形態にもよるが、実務体験を通して、ビジネスマナーをはじめとした社会人意識が芽生える
  • 他大学のモチベーションの高い学生と知り合えることで、自分の大学内では知りえないいろんな情報を得ることができ、いい意味でライバル兼友人ができる

というように大きな意義があると思います。
しかし、企業にとっても、学生同様に同じような意義があることに留意しなければなりません。

企業にとっての意義
  • 仕事を通して、学生に自社を含め、業界、仕事への理解を促進させること
  • 参加した学生の自社に対する興味を高めること
  • 将来の顧客である学生に対して、自社に対するイメージアップを高めること
  • 提携業務やプロジェクトに学生を関わらせることで、学生のセンスやスキルを活用して社員の意識、モチベーションを活性化させること
  • 採用を意識し、各学生のスキルと適正をじっくり見極めること

ご覧になった皆さん、この中でもっとも留意しなければならないことはどれでしょうか。そう、最後の「○採用を意識し、各学生のスキルと適正をじっくり見極めること」という部分です。

学内のガイダンスや企業説明会ですでにお聞きになったことがあるかもしれませんが、インターンシップは、本来、“採用とは全く関係がない”というスタンスで実施されています。毎年7割程度の企業が、「結果として、インターンシップに参加をした学生を本採用で採用しなかった」という回答を出していることからも確かにそれは証明されています。しかし、実際には、残りの3割の企業は、インターンシップ学生をそのまま採用しているという実態があるのです。前者の場合にも、インターンシップ参加学生が、とても優秀で印象がよかったとしましょう。そして本採用試験でも、他大学生よりも明らかに光っていたとしたら、それはやはり本採用になるはずです。

だからこそ私は思います。インターンシップとは、皆さんのやり方・考え方・あり方によっては、本採用につながる手がかりを必ずやつかむことができると!
その辺りをどのように考え、どのような姿勢で臨めばよいのか、これから一緒に考えていきましょう。

インターンシップの種類

大きく分けて、次の4つがあります。
  • 仕事体験型
  • グループワーク・研修型
  • オフィス・工場見学型
  • 座談会型
仕事体験型

社員と一緒の同じ空間で仕事をしたり、その仕事ぶりを近くで見ることができる。営業部署に配属されたら、営業同行で商談に同席することもあり、実務を丸ごと体感できる。

グループワーク・研修型

社員と同じ空間ではなく、インターンシップ生だけの部屋で、会社から 提示される課題に学生がグループで取り組む。課題は、その企業の事業に関わることが多く、その企業の仕事の一端に関わることで、業務へのイメージが沸く。

オフィス・工場見学型

社内の様々な部署や工場などの現場を回り、組織の役割や仕事内容など を聞く。同じ会社でも、部署によって仕事の内容が全く違うこと、多様であることが分かるので、企業理解を深めることができる。

座談会型

学生数人のグループにその企業の社員が加わり、自由に相談や質問を受けたり、楽しくコミュニケーションを図る形式。仕事の話はもちろんのこと、その社員の考え方や本音を知ることができるOB・OG訪問と同じようなメリットがある。

「仕事体験型」の場合、10日間、2週間、1ケ月など、比較的長期に亘るものが多いですが、それ以外は、1〜2日間程度の短期のインターンシップが多くなっています。

ということは、自分に最も適したインターンシップの選び方をしたほうがいいということです。”友達に付き合ってなんとなく。。。”などという消極的な気持ちではなく、参加する以上は、自分自身の目的意識をまずは明確にしましょうね。ご参考までに、下記のような考え方でいかがでしょうか。

  • 目指す企業や業界が明確な学生:比較的長期である「仕事体験型」や「グループワーク・研修型」を選ぶ
  • いろんな企業に興味がある学生:1dayなど短期の「オフィス・工場見学型」〃
  • やりたいことが分からない学生:「オフィス・工場見学型」「座談会型」〃
  • 社会に出るのがとにかく不安な学生:社員の考え方が聞ける「座談会型」〃
  • 学生時代とくに何も頑張らなかった学生:「仕事体験型」〃
    *ここで一生懸命頑張れば、本選考で「学生時代一番頑張ったこと」として話すべき材料となるから。

学生からよく出る質問の中に、短期間を複数受けるのと、長期間を1社だけ受けるのとどちらが有利?というのがあります。
先の説明でお分かりのとおり、目的別で考えたほうが自分のためになることはもうお分かりですよね。極端なことをいえば、目指す会社でもなくまったく興味がない企業会へのインターンシップでも、得ることは大きいということ。
興味のない分野・業界だったからこそ、自分が目指す企業・業界への違いが明確になると思うし、逆に、インターンシップに参加したことで、今までとは全く違う方向への興味・関心を持つことにもつながります。
これは今まで学生であった皆さんにとっては、実は、大変有意義で意味のあることなんですよ。それは、アルバイトとインターンシップの違いをきちんと考えればもっとよく分かります。

アルバイトとインターンシップの違い

大学生のほとんどがアルバイト経験者のはず。企業がアルバイトであるあなたたち学生に求めているものは、ズバリ「労働力」だけです。

それに対して、インターンシップは、あなたたち学生の「労働力」を期待しているのではなく(ときには、そんな企業があると聞いていますが、原則はそうではありません)、その会社の業務、業界、会社自体を理解してもらうことが目的です。

さらに言えば、アルバイトは、特定の分野(主にサービス面)だけの仕事になりますが、インターンシップは、さまざまな角度から関与できることと、組織の内部を深く見ることができるという大きな違いがあります。だからこそ、興味がある企業へ行けなかったということで、嘆き悲しむことはまったくなく、将来を見据えた活きた社会勉強が出来ることに大きな意義があります

だからこそ、出遅れることなく、いち早く就職サイトや各企業のホームページ、大学の就職課やキャリセンターを通して、行くべき企業、行きたい企業を見つけて、申込書をしましょうね。

インターンシップ先で”手がかり”をつかむためにビジネスマナーをフル活用しよう

私が申し上げる”手がかり”とは、ズバリ『インターンシップ先で選ばれる学生になるためのポイント』です。同じ意識をもった他大学生と仲良くなれるだけではダメ。その企業の社員と、仲良くなるだけでもダメなのです。”楽しかったあ〜”と終わった長期のインターンシップの結果、秋から始まる本格的な就職活動では、おそらくあなたは、そのインターンシップ先を、もしかしたら第一志望としてエントリーするかもしれませんよね。その結果、内定をもらうことができるか、書類選考で落とされるかという現実が待っています。

せっかくインターンシップへ行ったならば、自分の力で、自分という存在を、その企業にしっかりと印象づけて、”ご縁”を作ってくるくらいの前向きな意識と強固な気概を持ってほしいものです。書類選考時、企業の採用担当者が、「あー、この学生、インターンシップに来たけど、仕事は出来ないし、ちょっと足手まといだったよなあ」なんて会話をするようでは、インターンシップに行ったことで墓穴を掘ってしまったことになるでしょう。だからこそ、インターンシップへ参加をする以上は、自分の未来のために成果をあげてくるべきなのです。

そんな意識を持った、いや”そんな気概を必ずや持とう!”と思う皆さんへ、社内で認められるためのビジネスマナーをいくつかご紹介しましょう。

初日の挨拶

明るい笑顔でハキハキと元気で大きな声で自己紹介をしましょう。自己紹介だけで、あなたがどんな活躍ぶりをしてくれるのか、企業の方にはほぼ分かるものです。その結果、期待してもらえるのか否か!挨拶時=第一印象。家で事前に挨拶・自己紹介練習をしっかりしておきましょう。

服装

初日はジャケット着用がお勧めです。ユニフォームを着る人は、ボタンをきちんとしめるなど、身だしなみをきちんと整えてください。私服で行く場合にも、初日、Tシャツとジーンズなどのラフな格好では好印象をもたれません。お化粧や髪型、アクセサリーも含めて、おしゃれではなく、身だしなみに気をつけてください。
*おしゃれ―人の目を気にしない自分勝手な格好
*身だしなみ―自分の好きな格好というよりも、人の目を意識して、周囲に不愉快な思いをさせない社会性のある格好

時間の管理

始業時間と出社時間は違います。 仮に9時から18時までがあなたの拘束時間だとしましょう。何時に出社しますか?9時ぎりぎりではダメ。15分前には出社をし、まずは身だしなみを整え、周囲に挨拶をしましょう。始業時間こそが9時。9時から即、仕事ができるように、けじめをもって過ごしてください。

職場の言葉遣い

原則、丁寧語で話すのが職場のルールです。丁寧語というのは、「〜です」「〜ます」という話し方。社員の方々には、自然と丁寧語で話すあなたたちですが、ひとたびグループワークになると、インターンシップ生と学生言葉=タメ語で話す学生が少なくありません。グループワークはあなたに与えられた課題=仕事であり、遊びの時間ではありません。したがって、お昼休み以外は、インターンシップ生とも丁寧語でお話になることをお勧めします。

受命と報告

「受命」とは命令を受けること。あなたが上司に呼ばれたら、必ず元気に「ハイ」と返事をしましょう。速やかに立って、呼ばれた上司の方へ自ら進みます。その際、必ず筆記用具を持っていくこと。受命をした後、全てをあなたが復唱するのがルールだからです。
「報告」とは「受命」と必ずセットにします。受命をした仕事が終了したら、その都度、自分の方から速やかに上司に報告をします。そのことで、また次なる業務が与えられるでしょう。それよりも大切なことは、企業の方が、「この学生、仕事が速いな」とか「上司と部下の関係を円滑にできる学生だな」と評価をしてもらえることです。

電話応対

企業にとって、電話は会社の顔です。つまり、かかってきた電話に対し、きちんと受け答えができないと、かけてきた人に悪い印象を与えてしまうからです。 インターンシップ生は電話に出ることが少ないといわれているのも、そのせいです。おろおろしながら電話に出られてしまうと、企業のマイナスイメージになるからです。しかしながら、先輩方の話を聞くと、「電話に出てもいいよ」と期待されている学生もいます。どうすれば期待してもらえるのでしょうか。
それは初対面の挨拶が上手くできるかどうかにかかっています。元気で活き活きと明るい話し方のあなたなら、電話に出てもいいといってもらえるでしょう。その反対、元気のない声でボソボソ話す学生には、「絶対に電話に出なくてもいいからね」と念をおされることでしょう。どちらが徳かは、未来への手がかりをつかもうと思うあなたなら分かりますよね。
電話応対はその会社によって、受け答えのマニュアルがあると思います。それをきちんと見せてもらった上で、正社員になったつもりで元気に電話に出ましょうね。

ご馳走してもらった時の対処法

長期のインターンシップの場合、一度位はお昼ご飯などご馳走になることがあるかもしれません。ご馳走してもらえることは当然のことではありませんので、まずは「ありがとうございます。でも、自分の分は自分で払います」と一言は言いましょう。それでも、「これくらいいいよ」と言われたら、素直に、「ありがとうございます。それではご馳走になります」と笑顔で答えましょう。もちろん食後は「ご馳走様でした」ときちんとお辞儀をすることを忘れずに。選ばれる学生になるためには、ここで終わってはダメ。
その日の夕方、帰る前にもう一度そのご馳走してくださった社員のところへ行き、「本日はご馳走様でした。ありがとうございました」ともう一度おっしゃってみましょう。こんな律儀な学生、今の時代には殆どいませんから、相手が年齢の高い方なら、そんなあなたのことを大切に思ってくださることでしょう。

インターンシップ終了後、まっさきにやるべきこと

終了日、お世話になった社員の方々にきちんと丁寧にご挨拶をしてくることは言うまでもありません。それで終わりではなく、その日、もしくは翌日に、お礼状を書きましょう。手紙を書くことは難しいことですが、面と向かって言えなかったこと、体験した感想などをしっかり書くことで、受け取った相手は嬉しく思うものです。内容によっては、間違いなくご縁をつくることにつながります。ぜひ面倒に思わないで、ここまで誠意を示しましょう。

まとめ

いかがでしたか?インターンシップに参加したくなりましたか?参加するにあたっては、申し込みだけでよい企業と、人気の高い企業では、本採用さながらの選考があります。万が一、チャレンジしたけれど、結果としてどこにも参加できなかった皆さんは、この夏をどう活用したらいいでしょうか。

夏の有効活用の仕方

アルバイトは、企業が学生の「労働力」だけを求めていると申し上げましたが、それでも別の言い方をすれば、アルバイトだって、立派な社会経験であるといえます。アルバイト代がもらえるということは、本気で頑張らないと、それはアルバイト代”泥棒”ですよね。就職活動を目前に控えた皆さんは、これからはそんな意識ではダメです。
アルバイト代だけを目的に働くのではなく、自分なりにテーマや目的を作ってみればいかがでしょうか。

たとえば、人と接するのが苦手な人は、コミュニケーション能力を身に着けるアルバイトを選ぶことをお勧めします。
私の知っている限りでは、面接でうまく話すことが出来ない学生に限って、学生時代のアルバイトが、開店前の品出しや業務終了後の清掃作業と伺うことが多いです。もちろんそれらも社会にとって必要な重要な仕事ですが、それでは就職活動で一番求められるコミュニケーション能力を向上させることは無理です。
自分の苦手意識をも、アルバイト選びやボランティア活動をとして改善し補うくらいの事前準備は積極的にしてほしいものです。
どうかこの夏休みを元気に有意義に活用してくださいね。インターンシップへ参加できたあなたは自分の力で未来への“手がかり”をつかんできましょう。

来月、第三回目のテーマは、自己分析です。自分の“売り”を早く見つけて、それを活かす方法をお伝えします。どうぞお楽しみに。
それではまた来月、元気にお目にかかりましょう。夏バテにはくれぐれもお気をつけて。

坪田まり子