坪田まりこの就職塾2011

坪田まりこの就職塾2011 第5回
選考が早い企業はもう面接が始まる!面接対策第一弾 マナーを知って活用する

はじめに

みなさん、こんにちは。
いよいよ紅葉が目立ち始めました。つい先日、山梨県へ講演に行ったところ、特急あずさの車中から見える山々がだいぶ色づいていました。紅葉って、不思議と心が和みませんか。駅構内のポスターには紅葉シリーズばかりが目立ちますが、日本人は、春の桜と秋の紅葉シーズンにはちょっとどこかに行きたくなるのでしょうね。私もその一人。時間があれば、ちょっと紅葉を見に少し遠くまで出かけたい気分です。
 みなさんは紅葉どころか、いよいよ本格的にはじまろうとしている就職活動でそれどころの気分ではないでしょうか。それともあなたの心、まだまだ余裕がありますか?
今回はちょっと気が早いですが、面接対策第一弾として、マナーの重要性についてお話したいと思います。
ビジネスマナーという言葉、おそらくみなさんは好きではないでしょう。しかし、それでも就職活動シーズンの中で、学内ガイダンスなどでは必ずマナー講座が入ってくるのはなぜか分かりますか?それは、就職活動=社会性が必要で、ビジネスマナーこそ社会性につながる最大のポイントだからだと思います。
今回は具体的に何をどうするという話ではなく、就職活動を成功させるためには、いかにビジネスマナーが重要であるかというお話をしたいと思います。

企業が学生に求めるもの

昨日の話です。ある大学の講演で、キャリアセンターの課長様が、講演者である私を紹介してくださる際に、学生に話してくださったことをご紹介します。
さらに、企業が選考で重視している視点28項目の中では、
  1. 就職意識の低さ
  2. 事前準備不足(自己理解、自己分析、企業研究など)
  3. 社会性の欠如、マナーの悪さ
  4. 基礎学力の低さ
  5. 安定志向、楽観志向
ある就職会社の6月から8月の調査によると、選考をクリアできなかった学生の印象を企業がどうみていたか、ベスト5は下記のとおりだそうです。
  1. 対人コミュニケーション能力
  2. 仕事への意欲、興味
  3. 行動力
  4. 向上心
  5. 誠実さ、信頼感
  6. マナー・礼儀
というお話でした。その課長様は、その上で、「今日の講演はとても重要だから、しっかり聴くように」と参加者に強調してくださいました。
 みなさんはこの調査結果をいかが思われますか?
実は、私、約10年間、学生のみなさんの就職活動を応援していますが、ビジネスマナーをしっかり活用することができれば、どんな大きな夢もかなえることができる!とそれこそ本気で真面目に考えています。
選考をクリアできない志願者の第1位である「就職意識の低さ」は、ビジネスマナーをしっかり理解し表現することができれば、必ずや改善することができます。頑張ろう!という気持ちは、やはり心の問題だけでなく、外見的な姿勢や雰囲気からにじみ出てくるものだからです。
さらに企業が重視している28項目中の第1位である「対人コミュニケーション能力」とは、ビジネスマナーが根底にないと無理です。従って、このデータでは、企業が重視しているもの28項目中の11位にランクされていますが、「対人コミュニケーション能力=ビジネスマナー」と考えることができ、ここでもまたビジネスマナーの重要性は一段と高くなることに気がついていただけるはずです。

ビジネスマナーの意義

ではビジネスマナーの意義とは何なのでしょうか。私は次の3点だと考えています。
  1. 人に迷惑をかけないため
  2. 人に好感を与えるため
  3. 人に敬意を表するため
1番目が問題なのです。おそらく学生の誰もが、そして社会人ですら、ビジネスマナーを苦手だと考えているのは、ビジネスマナー=規則・ルールだと思っているからだと思います。確かに、小学校から先生方にきつく言われてきたことは、「集団生活の中では規則を守りましょう」ということばかりだったはず。駅構内のポスターや禁煙ポスターに至るまで、マナーに関する広告は山のように目につきます。そんな意味合いで、どうしてもビジネスマナーときくと毛嫌いしてしまう人が少なくないのだと思います。
私は、これから本格的に就職活動をはじめるみなさんに、この1番目の「人に迷惑をかけるな」ということをとやかく申し上げるつもりはありません。なぜならば、もうみなさんはそんなこと、人に言われなくてもちゃんと分かっているはずだからです。
しかしながら、2番目と3番目のことはいかがですか?普段そんなことを意識なさることがあるでしょうか。例えば、アルバイトの面接にいくときは、「今日の面接では真面目そうにしておこう」と思うでしょうし、または好きな異性に告白するときも「今日は可愛い(かっこいい)雰囲気にしておこう」などと思うことがあると思います。しかし、それ以外のシーンでこんな風に考えたことはありますか?
“僕は今日、人に好感を与えることができただろうか”
“私は今日、人に敬意を表することができただろうか”
って。

おそらくこんな風に自問自答をすることなど、めったになかったと思います。先に述べたキャリアセンターの方のお話を私流に言い換えるならば、早々と内定を受ける学生は、“人に好感を与え、敬意を表することのできる学生”であり、選考をクリアできない学生は、“人に好感を与えず、敬意をも表することができない学生”となります。
選考される場面では、どうしても面接官のほうが上の立場に見えがちです。しかし本来ならば、学生も面接官と同じように、厳しい目で企業を選択してもいいのです。あなたたちに心に余裕があるならば、面接中に、しっかりと相手のことを評価してみましょう。おそらく“学生に全く好感を与えず、敬意をも表してくれない面接官”など、あなたたちから断りたくなることでしょう。
このビジネスマナーとは、目の前にいらっしゃる面接官にだけ、好感を与え敬意を表することで評価されるのではありません。面接官は、あなたたち学生の好感度を見て、この学生は先輩社員とうまくやっていけるだろうか、お客様から好印象を持ってもらえるだろうかを判断するのです。
だからこそ、面接室でのマナーはもとより、これから本格的に始まる企業セミナーなどの参加時から、心の中でまずビジネスマナーを意識することを忘れないでください。
繰り返します。ビジネスマナーとは、規則やルールではなく、人に好感を与え、敬意を表するために、あなた自身が表現しなければならないものです。

リクルートスーツで表現したいビジネスマナー

リクルートスーツはお気に召していらっしゃいますか?人によっては、嫌だなあ、こんな制服みたいな服!って、思っている学生も多いことでしょう。
でも何のためにリクルートスーツを“着せられるか”、考えてみれば意識もきっと変わるのではないかと思います。
普段着のまま、またはジャージ姿のままで社会性という意識を持てるでしょうか。おそらく学生モードのままではないかと思います。しかし、似合う似合わない、好き嫌いに関わらず、リクルートスーツを身につけた以上、ダラダラ歩いたり、姿勢が悪いは不似合いですよね。まさに成人式に晴れ着をお召しになったみなさん、卒業式に袴をお召しになったみなさんなら分かるはず。なんとかかっこよく、様になるように、頑張ってその日だけは晴れ着に相応しい立居振る舞いをなさったと思います。
リクルートスーツはまさに、社会性を身につけるために着るものだと私は考えています。面接官だって、ほとんどがスーツにネクタイ姿であなた方を迎えてくださるはず。そう、面接とは本来、フォーマルなものなのです。だからこそ、互いに相手に敬意を示すために身だしなみを整えているわけです。
それなのに、最近は崩れて着こなしている学生が多すぎます。代表的なものがワイシャツの一番上のボタンと袖口のボタンです。
まずワイシャツの一番上のボタンについて。ネクタイが緩んでみえる学生をよく見ると、ワイシャツの第一ボタンを留めていません。だからネクタイがきちんと締まらないのだと思います。ホラ、中学や高校時代、ブレザーでネクタイの制服の人なら想像できるでしょう。規則どおりきちんと結んでいたのは、入学式と卒業式と風紀チェックのときだけだったのではないでしょうか。
ワイシャツの一番上のボタンは必ず締めること。これが最大の相手に対する敬意です。
次に、ワイシャツやブラウスの袖口のボタンについて。これもまた、留めないでシャツの袖口がピラピラしている人、結構いらっしゃいます。これはだらしない着こなしです。おそらく普段付け慣れない時計のせいだったり、手を洗ったときにボタンを開けて、留め忘れていらっしゃるのかもしれません。それでも、企業説明会のときなど、企業から資料を受け取ったり、あなたたちから企業に何かを渡したりするときには、必ず両手であることが大切。両手または片手を相手に向けるからこそ、袖口のピラピラが見えてしまうのです。
ビジネスマナーとは社会性を表現することです。こんな襟元、こんな袖口の人は、とてもじゃないけど、お客様の前には出せない学生です。すなわち、選考から外されてしまいます。こんなところにまで意識をしっかり持って、チェックすることをどうかお忘れなく。

企業説明会や面接、電話でビジネスマナーを表現するということ

一言でいえば、“感じのよい人”を目指すということです。感じのよい人であれば、間違いなく一次面接を突破することができるでしょう。
勘違いしてほしくないのは、可愛い、美人、ハンサム、イケメン=感じのよい人ではないということです。確かに可愛いとかイケメンというのは、学生時代やプライベートなシーンでは多くの得をするかもしれません。しかし面接ではそんなことはありません。どんなに可愛くてイケメンでスタイルがよくても、感じが悪ければ絶対に選考に通りません。なぜならば、先に述べたように、面接官の目に映るあなたたちの姿をみて、社内で良い人間関係を築くことのできる学生であろうか、お客様に愛され支持される社員になれるであろうか、が選考の決め手であるからです。
ではどんな人を“感じがよい人”というのでしょうか。それは、“明るくて、元気で、しっかりと相手の目を見て話すことが出来る人”のことだと思います。
ところで、あなたの性格は明るいでしょうか。そして健康的に見えるくらいの元気さがありますか。普段から、人の目をしっかり見て話し、相手の話を聴くことができますか?
残念ながら、私たちには持って生まれた性格や環境があるために、これらの条件に合致しない人もたくさんいらっしゃると思います。毎年学生を応援している私ですが、「笑顔ができません」「声が小さいので大きな声で話すこと、きついです」とか「人の目を見て話すのは苦手です」という声をたくさん伺います。そうだとしたら、生まれつき、明るくて元気で、人の目をしっかり見て話す&聴くことができる人は、何の心配もなく徳ですよね。
いえ、そうではないのです。
あなたがもしもこれらのことが苦手なら、それを克服することが大人になるということだと私は思います。小さな声は、相手に聞こえません。相手があなたの声を聴く努力をしていることになります。また笑えないあなた、これまで一度たりとも本当に笑ったことがありませんか?きっと友達といるときは笑っているはずですよ。人の目を見て話すのが苦手な人はちょっと訓練が必要かもしれませんが、いずれにしても、自分で自分を変える意識をもつことが、“就職活動、絶対に頑張る!!”という意識につながるはずです。
こんなふうに申し上げたら私、みなさんに嫌われるかもしれませんが、  笑うこと、相手に聞こえるように適度な大きな声で話せること、相手の目をしっかり見ることが、ビジネスマナーを表現すること、そのものだと思っています。
「スマイル0円」のマクドナルド。あそこで働いているスタッフの笑顔は本当に素敵です。しかし彼らは、普段でもあそこまでのとびっきりの笑顔をしているのでしょうか。ディズニーランドやディズニーシーのキャストはどうでしょうか。普段もあそこまでのイキイキさ、清清しさをキープしているのでしょうか。人間ですもの。それは難しいと思います。ダラーンとしたいときもあれば、友達や家族と喧嘩して陰険な顔つきをしているときだってあると思いますよ。
でもなぜ仕事中頑張れるかといえば、それはまず職場に対する責任感があるからだと思います。そして頑張っているうちに、もっと認められたい、ライバルに負けたくないという向上心が芽生えるからだと思います。さらに、目のまえで接するお客様の“ありがとう”の声に触れ、言葉にできないくらい大きなやりがいにつながるからだと思います。
今は学生でも、これから働くみなさん。就職するって、本当に素晴らしいことなのですよ。自由はもちろん学生である今の方があるけれど、自由なだけの人生では、成長することは難しいのではないかと考えます。鍛えられ、怒られ、反省しながら、私たちは少しづつ磨かれ成長していくことができるのではないでしょうか。

まとめ

ビジネスマナーとは、面接のときだけ頑張るためにあるのではありません。対人コミュニケーション能力の基礎として、普段から自然に発揮できてはじめて、人と良好な関係を築くことができます。
その意識を今からしっかり持ちましょうね。
“今日の私、人に敬意を表することができただろうか”
アルバイト先はもちろんのこと、大学で教授や職員の方々とお話するときも、就職活動中もぜひこの意識を持って、ビジネスマナーを表現することに少しづつ慣れていってほしいと願っています。
それではまた来月元気にお目にかかりましょう。

坪田まり子