坪田まりこの就職塾2011

坪田まりこの就職塾2011 第5回
選考が早い企業はもう面接が始まる!面接対策第一弾 マナーを知って活用する

はじめに

みなさん、こんにちは。
そろそろ本番の選考が始まった方もいらっしゃるのではないでしょうか。あちこちの大学で、学生達から、「来週、最終面接です」とか「エントリーシート提出なので添削をお願いします」とか、「先日、選考には関係ないということでセミナーに参加しましたが、その場でグループディスカッションをさせられてへこんでしまいました」などなど、一喜一憂した声がもう聞こえはじめています。確かに、選考には関係ないはずなのに、何でエントリーシートのようなものをその場で書かされたり、グループディスカッションをさせられるのでしょう??疑問に思うというよりも、企業側も早くから採用活動をはじめて、よりよい学生を早々に確保しておきたいという気持ちがあるからなのでしょうね。
とにもかくにも、何事にも参加をした以上は、その場で思いがけなく行われるさまざまなことに対しても全力を尽くすことがベストであるということです。うっかりぼんやりなさらないで、いつも気を引き締めて明るく積極的にトライしていただきたいと願っています。
 さて、今回はグループディスカッション対策についてお話します。私は、誰もが不安な最終面接や個人面接よりも、しっかり対策をとる必要があると考えています。

グループディスカッションの目的

一言でいえば、即戦力となる学生を探すためです。グループディスカションは、あなたたちを採用したあと、社員になってからの会議でどのような立場をとるかが、目に見えるようによく分かるといわれています。つまり、“擬似”会議風景だということ。私は、企業研修で、会議をもっと円滑にするためという目的をもった研修も少なからず承っています。
企業の社長様方の中には、会議をするのはいいけど、時間ばかりかかって、どいつもこいつもはっきり意見は言わないし、非効率だ!!と思っている方も少なくありません。みなさんが将来管理職になったら分かると思いますが、管理職の仕事って、ほぼ毎日会議ばかりと言えるほど、一日の大半の時間を会議でとられています。
その日の会議が4つあるとしましょう。全てが時間通り速やかに効率的に解決すればいいのですが、それぞれが自分の仕事を抱えていることもあり、なかなかスムーズに捗りません。社長たちは、こんな現状を何とかしたいと常に思っているわけです。ということは、新卒の採用選考でグループディスカションをさせることにより、あなたたちの会議に対する取組み方を見ることで、将来有望な人材を探そうというわけです。
学生の皆さんは、グループディスカッションを、個人面接や集団面接よりも他の学生と相談できるので、気持ちが楽だし好き!というご意見が多いようですが、個人面接のほうがうんと優しいと私は思っています。個人面接は、直接的にあなたに対し質問が向けられます。自分のことですもの、原則は全てのことを答えることが出来るはずですが、グループディスカッションは、どんなテーマが与えられるか分かりません。あなたにとって、得意分野であれば発言は出来るかもしれませんが、苦手な時事問題などが出てきたらどうしますか??さらに、あなたにとっての第一希望の会社で、その一次面接がこのグループディスカッションだとしたら。。。あれほど頑張って書いた志望動機も何一つ述べられないまま、一次面接で敗退ということもありうるわけです。従って、絶対に選ばれる学生になるためには、なんとしてでもグループディスカッションを得意にするしかありません!

面接官は何を見ているのか

課題に対する結論の内容ではないと思います。それよりも、ディスカッション中の取組む姿勢が見られています。
あなたが果たす役割、発言の内容や仕方、他の人の意見を聴く姿などから、あなたの
  • 協調性
  • 積極性
  • コミュニケーション能力
などが見られているはずです。

効果的な進め方

イメージでまずお話しましょう。面接官が「それでは開始してください」と号令をかけたあと、速やかに活気づいているグループがあれば、しばらくシーンとしているグループもあります。これだけで差別化を面接官は図っているでしょう。
当然ですが、速やかに活気づいているグループは見込みありで、いつまでたってもシーンと静かにしているグループは見込みなしです。なぜならば、グループ全体が機能していることが、認められる最低の条件だからです。
私は毎年恒例になった「自己PR向上特訓講座」やいくつかの大学で担当するグループディスカッション講座で、こんな風に進めてみれば?とお勧めしていることがあります。
それは、まず元気よく挨拶をすること。真っ先に挨拶をした人が、おそらくイニシアチブを取れるはずだからです。挨拶をした上で、こんな風な順番でいかがでしょうか。
  1. 自己紹介
  2. 役割分担
  3. テーマをしっかり確認したあとで、一人一人がまず自分の意見を述べる
  4. 全員の意見が出たところで、テーマの論点を“整理”する
  5. 整理したことにより、出た意見からいくつかに絞込み、再度話し合いをする
  6. 最後の10分程度で結論をまとめる
2)役割分担ですが、少なくとも3つは役割があるはずです。@リーダー(進行役)A書記Bタイムキーパーです。これ以外にもあるとしたら、自称ムードメーカーなどもあり!でしょう。
学生からのよくある質問では、リーダーになったほうが得でしょうか?ですが、答えはそんなに簡単なものではないと思います。
確かに、リーダーは目立つし、一見得ですが、その学生にリーダーの資質が備わっていない場合には、話し合いが滞ったり、または白熱してきたときにうまくまとめることが出来ない学生をよく見受けます。
そんな時に現れるのが“真のリーダー”ですね。それまでは調整役のような態度で話しに加わっていた学生が、一気に選考通過に一歩抜きん出るというケースもよくあります。だからこそ、役職につくべきかどうかよく考えておきましょう。就きたいなら就けばいいと私は思います。そのかわり就く以上はベストを尽くすためにも、お友達同士で練習をするなどして、向上を図ってくださいね。
そしてもしも本番であなたがリーダーではなく、滞った場合。さらにその場に真のリーダーも存在しないような場合に、あなたが「このリーダーではダメだ」と思うことがあれば、ダメなリーダーに仕方なくついていって、最終的にともに沈没することだけはやめてください。「このまとめ方では、しっかり詰めていないように思うのですが」と自分の意見をきっぱり述べることが大切です。
円滑且つ明るい雰囲気ではないグループをよく観察してみると、リーダーがダメな場合が少なくありません。
進め方もまとめ方もよくないことに、周りは気がついているはずですが、自分に自信がないこともあり、仕方なくそんなリーダーについていっているように見受けることがあります。これではグループ全員が沈没してしまうのですよ。面接官は、ディスカッション中、一切発言をしませんが、そのグループ内に座っていらっしゃることもよくあります。ダメなリーダーに遠慮することなく、自分の意見をきちんと述べることで、あなたにはまだチャンスがあると私は思います。

留意すべきポイント

  1. とにかく発言をすること
  2. 決してオブザーバーにならないこと
  3. 感情的にならない、ムキにならないこと
  4. 無理に役割を担わないこと
  5. 制限時間内に必ず結論を出すこと
  6. メモをとること
  7. 論理的に発言すること
  8. 周囲に聞こえるような大きな声で話すこと
  9. 話し手の目を見てうなずきながら聴くこと
  10. 手を挙げて発言し、常に敬語を維持すること、など
1) 発言回数の目安ですが、45分程度の話し合い中、5回では認められません。8回以上を目指しましょう。「エーッ?8回以上って何を話すの??」と不安に思うでしょう。例えば、「はい、今の○○さんの発言に私は賛成です。理由は、〜〜」のように同意する意見も一回とカウントされます。こんな風に積極的に発言していけば、時間はきっと足りないほど、意見をしっかり述べることができるはずです。
4)無理に役割を担わないとは、先に述べたとおり。自分に出来ることはなんだろうか??って普段から意識をしたり、練習をしたりしておきましょう。
5)時間内に必ず結論を出すこと、まさしくグループディスカッションがグループ全員の共同作業だからです。円滑に動くことができれば、きっと結論を導きだすことが出来ます。だからこそ遠慮はタブーですよ。一人一人がまずはグループ全員のために頑張ること、それが結果として、あなたに対する良い評価につながるはずです。
7) メモをとることについて。最近、面接官側から、「メモをとるのは書記役だけにしてください」と言われるところもあるようです。
もしもこう言われたら、それがルールですから、メモをとることは出来ません。しかし、こんなルールがない場合には、人の話を、メモをとりながら聴くこと、これが正しい会議のマナーです。メモをとらないと、自分の意見がまとまらないのではないでしょうか。
それにも関わらず、面接官が前記のように言い出した背景には、学生がメモをとること自体に必死になり、発言がおろそかになるという悪影響が出てきたからです。だからこそ、メモは書記役だけに任せ、あとの学生は発言を頑張ろうというスタンスになったわけです。
しかし、これが正社員になってからの会議風景では、社長がいらっしゃる会議中、筆記用具を持たない社員、メモをとらない社員はそれだけで出世コースから外されてしまいます。最低のマナー違反、参加を拒否しているような姿勢そのものだからです。だからこそ、メモをとりながらも、積極的に発言ができるように日頃からトレーニングをしておいてください。

まとめ

いかがですか?個人面接や集団面接のほうがまだ対策が立てやすいことがお分かりいただけたでしょうか。
集団だからこその難しさ、これがグループディスカッションなのです。それでもあなたにとっての第一志望の会社が、一次面接がグループディスカッションであれば、嫌だ、苦手!なんていっていられませんよね。大切なことを三つ申し上げておきましょう。
  1. 周囲の空気に飲まれないこと
  2. 苦手な人は、早い段階で5回は発言しておくこと
  3. 友人たちとテーマを決めて練習をしておくこと
問題は@ですね。もっと自分の大学と自分自身に自信をもっていただきたいと思います。
これまた学生からよく言われること、「坪田先生、同じグループの中に、○○大学とかすごいブランド大学生がいたり、出来そうな学生がいたら、それだけで負けたという気持ちになっちゃうんです」。。。
こんなことではダメですよ。彼は彼、あなたはあなた。自分にもっと自信を持ちましょうね。そんな気持ちでは、始まる前から、あなたの心と姿勢が、全部面接官に見透かされているはずですから。
いよいよ寒くなりました。もう本格的な冬ですね。どうか体にはくれぐれも気をつけて、前向きで明るい気持ちでこの冬を乗り切りましょう!
それではまた。

坪田まり子