坪田まりこの就職塾2011

坪田まりこの就職塾2011 第7回
会社説明会に参加することで”選ばれる学生になる”秘訣

はじめに

みなさん、こんにちは。
いよいよ2010年。あなたたちの勝負の年が幕をあけました。今のご気分はいかがでしょうか。しっかり目が覚めたような緊張感があるのか、それとも未だ夢から覚めやらぬようなぼんやりとした人ごとのような気分か、さあ、あなたはどちらでしょうか。
私は年に3回、自己PR向上特訓講座を主催しています。12月、2月そして3月がそれぞれの開校日ですが、12月クラスの参加者は、毎年とにかくモチベーションが高いのが特徴です。大手志向や自分のマイナス面をいち早く克服したいという前向き志向の学生がほとんどですから、その元気さ、分かる気がします。全6回の講座終了後のアンケートでは、全員が絶対に第一志望へ入ります!!とまで書いてくださる方がほとんど。しかし、この講座の集大成である1月に予定している模擬面接講座で再会してみると、あのときの元気さはどこへいったの??と感じる学生も少なからずいらっしゃいます。これではダメですよね。しかし無理もありません。この間、冬休みもあったし、お正月に美味しいものを故郷でたっぷり召し上がって、お年玉もいただいたりしてすっかり気持ちがのんびりしたからだと思います。しかしなんといっても1月に入りました。もう前へ進むだけ!着実に一歩一歩前進あるのみです。読者のみなさまのなかにも、”まだちっとも気合が入らない。。。”という方がいたら、しっかりと”心のスイッチ”を入れていただきたいと思います。

企業説明会に参加をする

10月くらいから始まる企業説明会。個別のものもあれば、合同説明会などの大規模なものもあります。いずれにしても参加をなさる目的は、企業の話を直接聞くこと、仕事内容や採用活動情報などを知ることなどがあると思います。個別・合同に限らず、採用担当者と直接触れ合うチャンスがあるのも参加のメリットですよね。
私も都内のみならず、地方で開催される合同企業説明会で講演をすることがしばしばあります。午前と午後の講演の合間、いい機会だから、会場の雰囲気を見て回ることもあります。びっくり仰天なのは、各ブースに座って話を聞いている学生の中に、コートを着たままの学生が少なからずいらっしゃること、採用担当者が話をしている目の前で、口元を押さえもしないで大きなあくびをしている学生、今いただいたに違いない企業の封筒をすぐさま足元へ置く学生まで。あきれて物が言えないとはまさにこのことです。
みなさんにとっての参加の目的は、先に述べたように、企業のことを知る、たくさんの企業を見て回ることであり、面接を受けるときのような緊張感がなくても仕方がありません。しかし一つだけ覚えておいていただけますか?あなたたちはそうでも、企業側は間違いなく、この場でもよりよい学生を見つけようとしている、選択の目をもっていることを!
自己紹介もしないのにどうやって選ぶのか?とお思いでしょうが、出来るんです。まずアンケートを書かされているのではないでしょうか。それが記名式であれば、優れた聞き手の学生とその反対の学生を選別する方法はいくらでもあります。人事の方々は、人の顔を覚えることに長けていらっしゃるからです。
”ただ参加をしただけでは終わらない”のがこの活動であることがお分かりいただけましたか?あなたはそのつもりでも、企業側はコートを着たままのあなたのことをしっかり覚えていますので、あなたの採用、後日、可能性があるかといえば、???ではないかと思います。
何もそこまで!というお気持ちは分かります。すべての企業がこうではありません。しかしあまりにもマナーが悪い学生が多すぎて採用する気持ちにもならない、というのがほとんどの企業が感じていることでしょう。

ビジネスマナーはここまで求められている

2008年の11月後半だったと思いますが、日本経済新聞にこんな特集が掲載されました
  • ”企業がこれからの社会人に求めているもの”
  • ”企業が入社2〜3年未満の社員に対し欠けていると感じるもの”
この両方の設問に対し、ダントツ一位だったのが、ビジネスマナーでした。ビジネスマナーが就職活動にも社員研修にも重要な位置づけにあることを分かっている私でしたが、今、ここまで求められているのか!と驚きました。おそらく2010年卒の学生に向けての就職活動成功のヒントになるべき特集だったのではないかと思います。
改めて、ここでビジネスマナーの意義を再確認しておきましょう。
  1. 人に迷惑をかけないため
  2. 人に好感を与えるため
  3. 人に敬意を表するため
採用されるためにはすべてが重要であることはお分かりいただけますよね。では、採用したくない学生またはビジネスマナーが欠如している入社3年未満の社員のイメージは、
  1. 人に迷惑をかける
  2. 人に好感を与えない
  3. 人に敬意を表しない
こんな類の人たちなのでしょう。ビジネスマナー3つの意義を理論として暗記をするのではなく、1月に入った今だからこそ、あなたたちがこんなふうに意識の中にしっかりと持たれることをお勧めします。
  • ”今日の私は好感を与えることが出来ただろうか”
  • ”今日の僕は敬意を表することが出来ただろうか”
って。こう思うことができるなら、企業説明会でコートを来たままであったり、あくびを平気ですることなんて出来ないはずですから。

選ばれる学生になるための秘訣 その1

まず、『極上の聴き手になる』ことをお勧めしたいと思います。
「聞く」ではなく「聴く」という漢字の違いにご注目。聴くという意味は、人の話を耳で捉えるのみならず、プラス目と心で聴くということ。
これをみなさんが説明会の場で表現するならば、
  1. 姿勢を正して座る
  2. 目線は常に話し手を見る
  3. 適宜メモをとる
  4. 話の区切りでうなづく
ということです。こんな聴き方が出来たなら、前で話をしている担当者のみならず、会場内をグルグル回っているほかの担当者の目にも、あなたの姿”だけ”オーラがあたっていることが分かるでしょう。
Cのうなづきとは、小さなうなづきでは足りません。前で話している担当者の話を心で真剣に聴いていれば、その内容に合わせた表情豊かな顔つきができるはずですし、その上で、積極的に首を縦に振りましょう。大切なのは縦に振ることであり、間違っても横に振ってはいけませんよ。それは相手の話にいちいちNoのサインを出していることになりますから(苦笑)。

選ばれる学生になるための秘訣 その2

説明会終了後には、毎回といっていいほど質疑応答の時間が設けられます。このときに、必ず質問をなさることをお勧めします。但し、下記のことを意識して
  1. しっかりと背筋を伸ばし、挙げた手をまっすぐに伸ばす
  2. まず大学名、名前(フルネーム)を名乗る
  3. 次に、ねぎらいの言葉を必ず添える
  4. 最後に質問を簡潔に述べる
@ですが、姿勢も手の挙げ方もすべてプレゼンテーションなのです。あなたが選ばれる学生になりたいと思うならば、好感をもたれる手の挙げ方にまで意識を払いましょう。
Aですが、名前を名乗ることが最大の自己PRだからです。
Bなくして、Cへいきなり入る学生が全体の半分以上でしょうか。それでいい場合もあります。余計な言葉が入らないので、時間を短縮することにはつながるからです。しかし、10年間、講師活動や講演活動をしている私に言わせれば、60分、90分話した後にいきなり質問よりも、やはり一言「本日は貴重なお話をありがとうございました」は嬉しいものです。この辺りのねぎらいの言葉を言える学生とそうでない学生は、ビジネスマナーの意義であるA相手に好感を与えるB相手に敬意を表する、の違いではないかと考えます。
C最後にする質問。これが要注意です。事前に三つ程度用意してくることをお勧めします。その場で考えるのが苦手な人もいらっしゃるし、一つではなく三つ用意するのは、今日の説明会でクリアになることもあるかもしれませんし、先に質問した学生と同じ内容を避けるためにです。
さらに注意すべきは、あなたにとっての本論よりではなく一つ手前のレベルの質問にしませんか?一つ手前のレベルというのは、他の学生に聞かれてもあなたが困らない質問内容という意味です。
OB・OG訪問をしたいけど、なかなかそのチャンスがないという学生が毎年たくさんいらっしゃいます。目的は、志望先が固まったときにその企業に勤めている先輩に、より詳しい掘り下げた話を聞くためですよね。
これに代わるチャンスを私は説明会でも自分の力で作ることができると考えています。
さあ、説明会が終わり、一同が解散したときを想像してみてください。きっとその人事担当者のところには数名の行列ができるはずです。
行列をしている学生は、おそらく質問か、名刺を渡しているかなどが想像できます。あなたは最後の人が終わるまで様子を見ながら待っていましょう。最後のタイミングで、速やかに人事担当者のところで行き、こんなご挨拶をしましょう。

「本日はありがとうございました。先ほど質問をさせていただきました○○大学の坪田まり子と申します。」

あなたが説明会の間、常に極上の聴き手でオーラがあたっていたら、そして先ほどの質疑応答時点で、スマートな姿勢と態度で人事担当者から好感を持たれる質問をしていたなら、間違いなくそのご担当者はあなたのことをしっかりと覚えていてくださっていることでしょう。
もしもあなたにとって嬉しい一言をかけてもらえたら、勇気を出してもう一言声をかけてみませんか?

 「お疲れのところ、誠に申し訳ありませんが、もう一つだけ質問してもよろしいでしょうか」

 そうなんです。ここでOB・OG訪問で聞こうと思っていたあなたにとっての本論を聞くチャンスがあるということなのです。ここで答えていただくことは、他の参加者に聞かれることはありませんので、あなただけのチャンスということになるわけです。
さらに勇気があって、しっかりと空気を読めるあなたなら、

 「ご迷惑でなければ、お名刺を頂戴できませんでしょうか?」

   ここまで言ってみましょう。そこから後は、あなた次第。その企業があなたにとっての本命であれば、しっかりと着実にご縁を作っていきましょう。

まとめ

いかがでしたか?
 企業説明会や合同説明会でそこまで出来ない。。と思った方もいらっしゃるかもしれません。しかし、売り手市場ではない今こそ、選んでもらえることをただ待っているだけでいいのでしょうか。私はそうは思いません。相手に好感を与えず敬意を表することもできないアプローチならしないほうが絶対にマシですが、自分に自信があるならば勇気を出してアタックあるのみだと思います。
注意をしてほしいのは、質疑応答の時間が与えられたにも関わらず、その場では手を挙げないで終了後に並ぶこと。こんな学生は、決してよい評価を得ることが出来ないと思いますよ。簡単に言えば、ルール違反だからです。学生からの質問に対し、回答する人事担当者のお話は、やはり参加者全員のために有意義な話であるはずですから、全員のためにも質疑応答はオープンであるほうがいいと考えます。
私の講演でも、質疑応答を設けていて且つ司会者が「質問はこの場だけでお願いします」とコメントをなさったにも関わらず、終了後並ぶ学生が少なからずいらっしゃいます。時間が許す限り答えていますが、正直申し上げて、内心はあまり気持ちのいいものではありません。それでも10名中3名は必ず質問の前にこうおっしゃいます。

先ほどは全員の前で質問できず申し訳ありません」って。

 この一言は、一見B相手に敬意を表するというビジネスマナーのようで、実は反していると思います。なぜならば、「大勢の前では恥ずかしくて質問できませんでした」って、言っているように見える学生に限ってこの言葉をおっしゃるからです。私がその会社の人事担当者なら、そんな学生のことは選ぶ学生の反対としてきっと覚えていると思います。
先に述べた<その2>のケースは、ルールに基づいて質疑応答の時間内にちゃんと質問をしているのです。この違いを間違えないようにしましょう。
 さあ、もう”うかうか””ぼんやり”なんてしていられませんよ。自分の足で、自分の力で勇気を持って一歩一歩前進してください。
 もちろん絶対に忘れてはならないこと。こんな時期だからこそ体調管理にはくれぐれもお気をつけくださいね。
それではまた来月、元気にお目にかかりましょう。

坪田まり子