坪田まりこの就職塾2011

坪田まりこの就職塾2011 第9回
面接対策第四弾 自己PR・志望動機を強化する

はじめに

みなさん、こんにちは。

突然ですが、最近、少し元気がない学生を最近よく見かけます。いつもは元気なその学生に、どうしたの?と聞いてみたら、「友達は2社も内内定をもらっているのに、私はまだ全然ダメなんです」
って。改めて思います。もう本格的な選考は始まっているのですよね。またつい先日は、「パソコンを開きたくないんです。」
という学生が相談に見えました。

「自分で決めた業種ですが、エントリーシーートもうまく書けないで焦っているのに、パソコンを開けば、毎日情報がたくさん送られてきて。。。パソコンを開くだけで憂鬱になっています。もう全てが嫌って感じ」
って。その女子学生は、本当にストレスを抱えていらっしゃるように見えました。その学生に対し、「興味のないものは開かないほうがいいのでは?」とアドバイスをしました。というのも、伺えば、既にかなりの数のエントリーをされている学生でした。またエントリーシートもかなり出していらっしゃるので、そのような状況下では、少し休むしかないと考えました。さらに、いつも元気でタフそうに見えたある男子学生。模擬面接をした後、やはり大きなため息をついていらっしゃいました。 「ダメなんです。気持ちばかりが空回りして、焦っていて、やらなきゃいけないことは分かっているんですが、何からやるべきかわからなくなってきちゃって。。。」

心を大切に

2011年の採用に関しては、暗いニュースが多い昨今です。それを見るだけ、聞くだけでもショックなはずなのに、それに輪をかけて友達に内内定が出たとなれば、自分はダメなのかもしれないと思いたくなる気持ち、よく分かります。しかし、大手企業の面接はこれからのはず。今まで受けてきた企業は、あなたにとって本命もあったかもしれませんが、そうではなくまずは手始めに(企業にとっては大変失礼な話ですが) と思ってトライしてきた学生も多々いらっしゃるはずです。選考に漏れたあなたにとって、その企業が手始めであり、本命の企業でなかったならば、内定を採らなくてよかったと思いませんか?内定を採ったなら、後でキャンセルの手続きをすることも、心の負担、結構ありますから!一喜一憂するのが就職活動と割り切り、何事も前向きに考え、前進するしかありません。

ただ、前記の男子学生にも申し上げましたが、あまりにも辛いときは、一日か二日、しっかり休むことをお勧めします。頭の中から、就職活動のことを一切忘れて、好きなものを食べたり、好きな映画や本を見たり、気分をリフレッシュさせることも大切かと思います。悩んでいるときに、他の学生の話を聞くのは、私ならやめておきます。なぜなら相手の状況が自分と正反対でうまくいっていたならば余計に落ち込むかもしれないからです。

悩んでいるときには、あなたは笑っているつもりでも、相手には“心ここに在らず”に見えるものです。そんな顔して、面接に行ってもうまくいくはずはないと私は思いますよ。この忙しい時期に少し休めと申し上げる私を無責任と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、自分の心と体をもっと大切にしてほしいと心から願っています。あなたにとっての本戦はこれからなのです。健康第一、とくに“心を壊さないでほしい”と願ってやみません。

自己紹介と自己PRの違い

またまた最近多い質問をご紹介しましょう。 「坪田先生、自己PRと自己紹介とどう違うのですか?」という質問です。あなたはいかが思われますか?

私は、自己PRと自己紹介の内容は、原則、同じでいいと考えています。なぜならば、面接の場合の自己紹介とは、大学名と名前をいうだけでは損だと考えているからです。但し、シチュエーションによっては、大きな違いがありますので注意してください。例えば、集団面接の場面。全員が面接室に入って、名前を名乗らないまま「お座りください」と言われたら。そして全員が座ってから「自己紹介をお願いします」と聞かれたら、そのときの自己紹介は 「○○大学○○学部3年、坪田まり子と申します。よろしくお願いします」 が適切だと考えます。

しかし、座る前に全員が大学名と名前を名乗った後、座ってからの初めの質問が「自己紹介をお願いします」であれば、もう大学名や名前を繰り返す必要はまったくありません。それにも関わらず、自分の大学名と名前をまず繰り返す学生が少なくありません。これは不適切ですよね。

従って、自己紹介と自己PRをどの場面で問われたかによって臨機応変に対応していただきたいと思います。仮に、あなたが「自己紹介をしてください」と言われた場面で、自己PRをしたとしましょう。そして面接の最後で、「自己PRをしてください」と聞かれたら。臆することなく、もう一度自己PRをすればいいだけです。二度も自己PRが出来るなんてラッキーと思えばいいだけです。但し、知恵を使いましょう。

あなたが面接のはじめで述べた自己紹介(自己PR)とはおそらくあなたが事前に暗記してきたものであるはずです。それを面接の最後で同じことをそのまま述べるようではこれでは面接官は評価しないと思います。自己PRの結論は同じでも、その場の面接で自分が答えてきたこと、そして面接官との質疑応答のやりとりの中から、新しい自己PRをプラスして述べることが出来ればいいですね。臨機応変の態度こそ、面接官が求める問題解決能力ですよ

自己PRのポイント

まず次の自己PRをご覧ください:

「私は明るい笑顔で人と接することができます。それは3年半続けたカフェのアルバイトで身に付けました。
もともと人見知りだったため、これではいけないと考え、接客のアルバイトを選びました。
当初は緊張しすぎて、大きな声も出せないし、顔も引きつっていたようで店長からよくお叱りをうけました。
悔しくて、大学や自宅で大きな声を出す練習をしたり、鏡を見て笑顔の練習をしたりしました。
そのおかげで、現在は明るい笑顔で大きな声で話すことが出来るようになりました。
今では、お客様から「君の笑顔は気持ちがいいねえ」「あなたの笑顔をみるために来ているんだよ」などと褒められるようになりました。
この経験から、明るい笑顔で接客をすることの大切さを学びました」

さあ、これは自己PRとして最適でしょうか、いかが思われますか?その人のことがよく分かる内容ではありますが、アピール力にかけていると思います。私だったらこう書き換えますよ。
「私の強みは「明るい笑顔」です。なぜならば、笑顔は自分のためだけにあるのではなく、周囲を気持ちよくさせるために必要なことだと考えているからです。

私は、3年半カフェのアルバイトをしています。もともと人見知りだったため、これではいけないと考え、接客のアルバイトを選びました。当初は緊張しすぎて、大きな声も出せないし、顔も引きつっていたようで店長からよくお叱りをうけました。悔しくて、大学や自宅で大きな声を出す練習をしたり、鏡を見て笑顔の練習をしたりしました。そのおかげで現在は明るい笑顔で大きな声で話すことが出来るようになりました。今では、お客様から「君の笑顔は気持ちがいいねえ」「あなたの笑顔をみるために来ているんだよ」などと褒められるようになりました。

普通の笑顔ではなく、とびっきりの笑顔で接客をすることが今では私の喜びになっています。この明るい笑顔を貴社の販売職で活かし、売上げに大きく貢献したいと考えています。」

違いが出たことに気がついていただけますか?太字の部分を書き換えただけで、作文的な(内向き)イメージから企業に対するアピール(外向き)力が出たのではないかと思います。

よく考えていただきたいのは、何のための自己PRかということです。新しいクラスメイトに対する自己PRならば、ここまで強引に外向きのアピールにする必要はないと考えますが、就職活動で忘れてはならないことは、あなたが自分自身で企業に対し、しっかりとアピールしなければならないということです。

もっと分かりやすくてダイレクトに相手にアピールできる構成が、文章でも話し言葉でもできるようになりましょう。

効果的な自己PRの構成

PREP法をお勧めしたいと思います。

P:Point
R:Reason
E:Example
P:Point


はじめのPとは、結論のことです。自己PRをしたい一番の内容(結論)を真っ先に述べます。私は結論として、自分の強みや長所、または信念などをテーマにすることをお勧めします。自己PRこそ、企業に対する自分の一番いいところをアピールするべきだと考えているからです。

次にR=理由をもってきます。書き換える前の元の文章の二文目は、「カフェのアルバイトで身に付けました」と書いてあります。
それに対して、書き換えた文章は、「なぜならば、笑顔は自分のためだけにあるのではなく、周囲を気持ちよくさせるために必要なことだと考えているからです。」というように、その自分の強みがどういう意味であるのかを自分で説明をしています。
私はここが一番のポイントだと考えています。結論よりも大事なことがこのR=理由だと考えているからです。

企業が一番知りたいことは何でしょうか。それはあなたの人間性です。
何をしてきたか、どんなすごいエピソードがあるかではなく、知りたいのはただ一つ。あなたが何を考えて、どんな人間であるかという一点を知るために、いろんな角度から質問をするのだと私は考えています。
だからこそ、自分の方から、自分の人間性や考え方を先に述べてしまえばいいのです。
結論は、質問に合わせて100通りの回答があるはずですが、このR=理由は、いつもあなたらしさを伝えたいものです。これが一貫性につながると考えています

 そしてE=具体例。あなたのエピソードを書き、話します。ここではあまり長くならないように注意してください。
自信があることだから、面接で一生懸命エピソードを話す学生がいらっしゃいますが、それだけでマイナスです。先に述べたように、面接官が聞きたいのはエピソードよりも、あなた自身の考え方だからです。この点くれぐれもご留意願います!

 最後にもう一度P。結論を繰り返しましょう。最後にもう一度結論を繰り返すのは、結論という大切なことだからこそ、最後にもう一度繰り返したほうが相手にとって分かりやすいからです。但し、作文ではなく自己PRの場合には、はじめの言葉をそのまま繰り返しては知恵がなさすぎです。「この強みを活かし、貴社の○○に貢献したい」と外向けの言葉をも付け足すことでアピール力が増すと思います。いかがでしょうか。

志望動機のポイント

この志望動機も、自己PRと同じように、PREP法で書き、話すことをお勧めします。構成がポイントですよね。よくある学生の構成のパターンをご紹介しましょう。

いろんな人と臆することなく話すことができる
     ↓
だから人と関わって協力して活動することが好き
     ↓
貴社の○○では、様々な場面で人と協力して働くことが必要
     ↓
だから貴社の○○で働きたい

いかがでしょうか。あなたもこんな構成をなさっていないでしょうか。私だったら、こんな構成にしますよ。

「私は貴社の○○○○に共感しています」
     ↓
「なぜならば、私は○○○○○○と考えているからです」
     ↓
@上記を表す自分のエピソード
Aその会社の良い所
この二つの観点から自分の思い(共感した理由)をまとめる
     ↓
「貴社の○○でしっかりと努め、貴社の発展に貢献できると自負しています。だから貴社を志望いたしました」

いかがでしょうか。私は常々、志望動機について学生の考え方と企業が求めるものにギャップがあるのではないかと考えています。
先に紹介したパターンのほかに、学生が述べる志望動機で多いのは、
  • 社風に魅力を感じた
  • 社員に魅力を感じた
  • 研修内容が充実している
  • グローバルに事業展開をしている
などです。
もちろんまとめ方によってはこれらでも充分通用すると考えています。
しかし、いつだったかNHKの対談番組で大企業の社長がこんなふうに話していらっしゃいました。
求める社員像はという質問に対し、「やはり企業理念に共感してくださる方が一番欲しいですね」と。
企業のホームページにも社長のメッセージは必ず掲載されていると思いますが、どこの企業でも同じように「我が社の理念に共感してくださる方、ぜひいらしてください」などが書かれていないでしょうか?

それなのに、この点に一切触れない志望動機を作るのは、企業へのアピール力としてはいかがなものでしょうか。学生の殆どが考える志望動機は、確かにあなたがその会社に入りたいという動機であることは間違いありません。しかし、企業が求めている志望動機とは、「この会社のどこが好きですか?」ということではないかと私は思えてなりません。だからこそ、構成も表現方法ももっと工夫をする必要があるのではないかと考えています。

ここで企業理念についてもう少し触れておきましょう。どの企業も企業理念は必ず掲載していますが、比較的、似たようなものが多いこと、そして固い文章が多いことも特徴だと思います。それらをそのまま書いて、それに共感するというのは、場合によっては無理があるでしょう。それよりもメッセージや採用コンセプトなどは、全ての企業が違いを出しているはずです。それらのメッセージは全て企業理念から生まれたものですから、活用してもいいのではないでしょうか。ご参考までに。

まとめ

さあ、いかがでしたか?いよいよ4月の本戦を前に、ご自分の自己PRと志望動機を見直す機会になりましたでしょうか。
見直すのみならず詰めなければいけないこともまだまだたくさんあると思います。

 体調管理にはくれぐれも気をつけて頑張ってください。
冒頭でもお話しましたが、私は何よりも誰よりもあなたたちの心、精神面が心配です。
一喜一憂することがあっても、それはあなただけではありません。辛い時こそ、自分ひとりで抱え込まないで、ご家族やキャリアセンター、就職課などへご相談しましょうね。話すことで解決すること、きっとたくさんありますから。

それではまた来月お目にかかりましょう。

坪田まり子