・売り手市場の現在でも、3年以内に3割も辞めているのでしょうか?
・辞める原因は何でしょうか?
・どうしたら辞めることを防げるでしょうか?
こういったことをぜひ教えてください。
今回のコラムでは、厚生労働省と内閣府による最新調査データを基に『新卒就職者の高い離職率の問題と対策』について書きました。最初に「重大な問題点を2つ」説明します。
売り手市場の現在でも3年以内に3割辞めている(厚生労働省調査データ)
厚生労働省が令和元年10月21日に公表した『新規学卒就職者の離職状況』のデータによると大卒就職者の32%が3年以内に離職しています。しかも、直近の“平成29年の就職者”も既に1年以内に11.5%が辞めており、3年以内に3割のトレンドは継続しています。売り手市場であっても、学生は自分に合った企業に就職できているとは限らないことがわかります。
※厚生労働省調査データ→https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00002.html
大企業でも安心できない。『25%』の新卒就職者が3年以内に離職
上記調査データにおける企業規模別の離職率を参照すると従業員1000人以上の大企業でも3年以内の離職率は『25%』もあることがわかります。
要するに『大企業でも3年以内に4人1人に辞めている』のです。大企業に入ったからと言って安心できるわけではないのです。
内閣府の調査データ(若者の初職の離職理由)によると、離職の主要な原因は、3つあることがわかります。
※内閣府調査データ→ https://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h30honpen/s0_0.html
(サイト内の図表7)
・1番目は『仕事が自分に合わなかったため』
→(離職者の43.4%がこの理由を挙げる)
・2番目は『人間関係がよくなかったため』
→(離職者の23.7%がこの理由を挙げる)
・3番目は『労働時間、休日、休暇の条件がよくなかったため』
→(離職者の23.4%がこの理由を挙げる)
内閣府のデータより、不本意な離職を防ぐために効果的な対策は、以下の3点であると言えるでしょう。
1.セミナーや会社説明会、インターン、OB訪問などで、仕事内容を具体的に確認する
2.セミナーや会社説明会、インターン、OB訪問などで、一人でも多くの社員と交流する
3.セミナーや会社説明会、インターン、OB訪問などで、雇用条件を確認する
この3点の共通点は『セミナーや会社説明会、インターン、OB訪問など社員と直接会って話をする(質問をする)こと』です。社員と会わずに知名度が高い企業だからとか人気企業だからという理由だけで志望企業を定めるのは危険です。その企業が大企業であったとしても入社後の3年以内の離職に繋がるリスクが少なからずあります。
志望企業探しは、社員と直接会って質問し、自分に合った企業かを見極めるやり方がお勧めです。これは決して難しいことではありません。なぜなら、各企業は、3年生の5月から約一年間、少ない企業でも10回あまり、多い企業は20回以上もセミナー、会社説明会、インターンを開催し、かつOB訪問(社員訪問)の機会も提供しているからです。
セミナー・会社説明会・インターンの見つけ方は以下の通りです。
以下の(1)~(4)の手段で重要なセミナー・は隈なく調べることができます。参加方法は各セミナーの開催情報の中に記載されています。
(1)大学のキャリアセンター(就職課)で開催情報を確認(ポスター・チラシ・職員に聞く)
(2)大学生協のウェブサイト「withnavi就活」で開催情報を確認
→ http://www.withnavi.org/job/index.aspxを見てください
→大学内開催のセミナー・会社説明会情報はここでしか得られない場合が多い
(3)各就職情報サイトで開催情報を確認
(4)志望企業のウェブサイトの新卒採用ページで開催情報を確認
私は約20年間にわたって、全国の各大学で就職指導をしてきました。
指導をした学生に対して、アンケート調査をすることがあります。
項目は、「入社後の満足感」、「自分がやりたい仕事ができているか」、「人間関係に悩みはないか」、「今後もずっとこの会社で働きたいか」などです。
結果、わかったことは、入社後の満足感が高い人は志望企業を決める際に、以下の4点を質問して、入社後の自分を具体的に確認していました。
(1) 様々な社員の「一日の仕事のスケジュール」(普通の日と、忙しい日)
(2) 「活躍するために必要な能力、知識、心掛け、資格」や「活躍している社員の具体例」
(3) 新入社員時代に困難なこと、とりわけ努力すべきこと。
(4) 雇用条件(休日、給与、福利厚生等)の具体的な内容
保護者のみなさまも是非、ご子息・ご子女様へ上記の質問をするようにご助言お願いいたします。
今回のコラムは以上です。
入社後もずっと幸せに働き続けられる就職先選択のお役に立てたら、この上ない喜びです。
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