保護者のための就活ガイド

  • 就職コンサルタントの坂本直文です。
  • 私は約20年間にわたって全国82大学で就職講座の講師を務めてきました(東京大学、一橋大学、早稲田大学、慶應義塾大学、法政大学、武蔵大学、明治学院大学など)。指導した学生は7万人を超えます。近年は、就活生の子供を持つ保護者からも多数の質問を頂いています。とりわけ重要な質問について、このサイト内で4回に分けて丁寧にお答えしていきます。

【第四弾】
【企業の見つけ方。知られざる優良企業】
視野を広げるための行動とは??

◆保護者から寄せられた質問

大学の授業や試験等があり、時間的余裕があまりない就職活動の中で、これら3条件が揃った企業を見つけるにはどうしたら良いでしょうか?

親として子供に就職して欲しい「企業の条件が3つ」あります。
(1)経営状態に問題がない“優良企業”であること。
(2)働きやすい雇用制度が整った“ホワイト企業”であること。
(3)子供の“個性とマッチした企業”(仕事にやりがいを感じる企業)であること。

◆坂本直文からのアドバイス

今回のコラムでは、「企業の見つけ方。知られざる優良企業」という軸で、【優良企業、ホワイト企業、個性とマッチした企業(子供が仕事にやりがいを感じる企業)の3条件を満たす企業】を見つける方法を紹介します。以下の5つの手段を実行すると短期間で効率的に見つけることができます。

1.業界地図本を読む(視野が大きく広がる)
2.大学キャリアセンターで就職先実績を閲覧する(受かりやすい企業がわかる)
3.「4つの志望群リスト」を作成する(目標の明確化)
4.セミナー(合同会社説明会)で仕事内容・雇用制度を確認(マッチングの確認)
5.大学生協のシルベキ企業を見てみる

1,2,3,5の所要時間は、それぞれ1時間程度です。
4は納得がいくまで参加することをお勧めしますが、一般的に10回前後(10日前後)です。

1.業界地図本を読む(視野が大きく広がる)

業界地図本は、キャリアセンターや図書館で借りることができます。高額ではないですし、購入してもよいのではないでしょうか。就職活動中ずっと参考になります。(業界地図本は、多くの出版社が発行しています。読み比べてみて、自分にとって解説がわかりやすいものを選ぶとよいです)。

業界地図本には日本経済を支える業界が網羅的に書かれていますので、志望業界のターゲットを大きく広げることができます。収益力が高い優良業界・企業、および、将来、有望な業界・企業もわかります。

ここで、内定者の例を挙げます。海外と関わりのある仕事がしたいと思っていたKさんは、最初は旅行業界しか視野にありませんでした。しかし、業界地図本を読んだ後は、航空、ホテル、総合商社、専門商社、海運、音楽の海外部門、映画の海外部門、非鉄金属の海外部門、食品の海外部門、家庭用品の海外部門、金融の海外部門など、非常に多くの業界を比較しながら、志望企業探しができるようになりました。最終的には、家庭用品の某リーディングカンパニーが自分の希望にピッタリであることがわかり、第一志望としました。(その後、内定も頂きました)。Kさんいわく、業界地図本を読まなかったら、この企業とは出会えなかったとのことです。

2.大学キャリアセンターで就職先実績を閲覧する(受かりやすい企業がわかる)

大学キャリアセンター(就職課)で、近年の就職先実績を閲覧するとよいです。各自の大学・所属学部・学科から“受かりやすい企業”がよくわかります。さらに、“思いも寄らなかった多くの企業”を知ることもできます。志望企業の対象がイッキに広がります。特に興味を感じた企業は、キャリアセンターにある「内定者が書いた就職活動報告書」を読むことをお勧めします。報告書には、入社試験のスケジュール、エントリーシートや面接の質問内容、注意点が書かれています。入社試験対策が効果的にできるようになります。

3.「4つの志望企業群リスト」を作成(目標の明確化)

上記の1と2の作業を行ったら(もしくは同時進行で)、当項目で紹介する「4つの志望企業群リスト」を使って志望企業の優先順位をつけるとよいです。重要なことは「第一志望群」だけではなく、「第二志望群、第三志望群、第四志望群」の企業もリストアップすることです。

就活生のほとんどは、第一志望群しか考えていません。ごく少数の人が第二志望群を考えている程度です。第四志望群まで考えた「戦略的就活」をすると、自分にマッチした企業が見つけやすくなります。また、早期の対策ができますので、採用試験でライバル学生に圧倒的な差をつけることができます。

「4つの志望群リスト」

【第一志望群 (3社~6社程度)】
ぜひ入社したいと思う企業。現時点では、高望みに思える憧れ的な企業でも構いません。


【第二志望群(3社~6社程度)】
第一志望群のライバル企業、関連企業、グループ会社、子会社、取引関係がある企業、関連業界の企業、この企業ならば、入社してみたいと思う企業。


【第三志望群(3社~6社程度)】
視野を広げるための企業、社会勉強のための企業。BtoB企業、第一志望群・第二志望群とは全く違う業界の企業。


【第四志望群(3社~6社程度)】
第一~第三までに挙げた業界・企業に関連する。または、選考スケジュールが少し早く行われる企業。
※ここで選考の特徴や、自分に足りていない選考スキルの対策を練る。


各志望群につき3社から6社ほど見つけ、合計12社から20社くらいの志望企業候補を作って、それらを取捨選択しながら最終的に1社に絞り込んでいくとよいです。

このリストの志望企業の見つけ方は、業界地図本と大学キャリアセンターの就職先実績、および、以下の項目で説明する「セミナー参加」です。セミナー参加によって、第二志望群、第三志望群、第四志望群の企業が短期間且つ、効率的に見つかります。

4.セミナー(合同会社説明会)で仕事内容・雇用制度を確認(マッチングの確認)

前回の第三弾のコラムでも紹介しましたが、以下の(1)~(4)の手段で重要なセミナーを調べることができます。参加方法は各セミナーの開催情報の中に記載されています。

(1)大学のキャリアセンター(就職課)で開催情報を確認(ポスター・チラシ・職員に聞く)
(2)大学生協のウェブサイト「withnavi就活」で開催情報を確認
 → http://www.withnavi.org/job/index.aspxを見てください
(3)各就職情報サイトで開催情報を確認
(4)志望企業のウェブサイトの新卒採用ページで開催情報を確認

5.大学生協のシルベキ企業を見てみる

「シルベキ企業」とは大学生協が提唱する「知っておくべき企業」です。
オンリーワンの技術や高シェア製品、最先端サービスなど業界・企業研究をするうえで厳選しています。
以下のURLから確認することができます。
http://www.withnavi.org/job/shirubeki/

社員に聞くとよい「マッチングの確認が効果的にできる4つの質問」

また、各セミナーに参加したら、社員に以下の4つの質問をするとよいです。企業と自分とのマッチングの確認、受験の判断、志望順位の判断に大変役立ちます。
 
(1) 様々な社員の「一日の仕事のスケジュール」(普通の日と、忙しい日)
(2) 「活躍するために必要な能力、知識、心掛け、資格」や「活躍している社員の具体例」
(3) 新入社員時代に困難なこと、とりわけ努力すべきこと。
(4) 雇用条件(休日、給与、福利厚生等)の具体的な内容

今回のコラムは以上です。
全4回に渡ってお送りした「保護者のための就活ガイド」をご覧くださりありがとうございました。
入社後もずっと幸せに働き続けられる就職先選択のお役に立てたら、この上ない喜びです。

今後、何か心配、悩み、疑問、不安等が生じましたら、以下のメールアドレス宛にお気軽に質問メールをお送り下さい。
(著者メール:sakamoto393939@yahoo.co.jp)

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